社会医療法人共愛会 戸畑リハビリテーション病院 MSW 八尋 千鶴

1.病院の概要と特徴

 当院は北九州の中でも高齢化率の高い、戸畑区にある病院です。「人を敬い、人を愛し、人に盡す」を病院理念とし、患者様を主体とした医療の提供に職員一同日々取り組んでいます。

 我々、社会医療法人共愛会は母体である戸畑共立病院を筆頭に、老人保健施設あやめの里、ケアハウスあやめ、住宅型有料老人ホームサンセリテ明治町、あやめ在宅ケアセンター、明治町デイサービスセンター、あやめレンタルサービス、共愛会ケアプランセンター、明治町クリニック、メディカルフィットネス戸畑、健診センターを有し、入院医療から在宅介護までを包括的に提供できる体制を整えています。

 令和2年3月1日より病床変更を行い、現在は地域包括ケア病棟2病棟(3階46床、4階43床)、回復期リハビリテーション病棟1病棟(2階48床)、緩和ケア病棟1病棟(5階17床)の計154床という構成ですが、現在新病棟増築工事を行っており、今秋には回復期リハビリテーション病棟を12床、更に来春5月には7床増床予定です。屋外のリハビリ庭園や1階喫茶店は地域の皆様にも気軽に利用していただける場所となっています。

 外来部門では内科・整形外科・リハビリテーション科をはじめ、専門外来として、ものわすれ外来・骨粗鬆症外来・ペインクリニック内科・嚥下外来も行っています。平成29年11月1日より北九州市の委託を受け、ケアマネージャー並びに介護サービス事業所等に向け、リハビリテーション相談支援事業も行っています。更に、地域貢献として地域包括ケア推進チームを立ち上げ、地域の健康教室で講習を行う等の活動にも力を入れています。

 

2.医療ソーシャルワーカーの役割

 地域連携室にはソーシャルワーカー6名、退院調整看護師2名、事務1名が在籍し前方支援から後方支援までを担っています。前方支援としては、転院相談や外来受診相談を受け、毎日行われる受け入れ検討のための調整会議を医師含め多職種で実施しています。レスパイト入院や自宅からの急遽の入院への迅速な対応に力を入れるべく、より密な院内連携について日々模索しています。後方支援としては、入院時より担当を決め早期の初回面接、適宜アセスメントを繰り返しながら、これからの生活に向け地域の関係機関と連携を図りつつ、必要に応じて退院前訪問や退院前カンファレンスを実施し、退院調整を行っています。当院ではソーシャルワーカーと退院調整看護師の業務に大きな差を設けておらず、お互いの専門性を持ち寄った支援を目指しています。そのため、日々会話も多くにぎやかな地域連携室です。

 当院でのソーシャルワーカーの役割は急性期的な加療を終え、自身の身に起きた様々な疾患や障害による変化に思い悩む患者・家族に寄り添いながら、その意思決定を支援することであると考えます。疾患等によって分断されそうになっている患者・家族のこれまでの人生とこれからの暮らしをもう一度結び付け、住み慣れた地域でその人らしく暮らしていけるように、院内外のスタッフ・関係機関と思いを共有しながら日々の業務に努めていければと思います。最近では身寄りがない、又は親族はいても日常的支援が困難な事例、本人らしい生活の実現が難しいと感じる事例も多く、思い悩みながら支援にあたっています。一人で抱え込まずに皆で共有しながらよりよい支援について考えるために、毎週1回のミーティングでは各病棟での対応に苦慮している事例を報告し合う機会を設けるようにしています。

 日々感じるのは、ソーシャルワーカーの業務は何一つ一人では成立しないなということです。加えてコロナ禍にあって、入院中の患者・家族・関係機関が直接の関わりを取りづらくなっているからこそ、つなぎの役割となることを意識した支援が出来るように努力していきたいと思います。

 

令和3年1月1日現在