医療法人社団豊永会 飯塚記念病院 PSW 窪田 裕美

1.当院について

 当院は福岡県の中心部に位置する飯塚市にあります。飯塚市は人口13万人、旧産炭地として栄えた町であり、旧伊藤伝衛門邸などが観光地として有名です。
当院についてですが、精神科、心療内科、内科、歯科を標榜しており、精神科病床400床で、入院機能として精神科救急病棟、認知症疾患治療病棟等の計7病棟を有しています。外来機能としては、精神科デイケア・デイナイトケアや訪問看護を実施しています。
 また、同法人内で精神科クリニック及び障害者総合支援法上のグループホーム2施設を運営しています。
 今後は病院の事業展開として、平成29年4月に精神疾患や認知症を抱えた方の人工透析にも対応できるような内科棟を新設し、MRIや内視鏡検査を導入するなど内科の機能の充実を図り、地域のニーズに幅広くお応えできるよう準備を進めています。

2.精神科救急病棟について

 当院の精神科救急は2病棟で計108床の病床を有し、病棟には看護師、精神保健福祉士、作業療法士が配置されています。ここでは、他病棟に比べて手厚いスタッフ配置がされており、3ヶ月の治療期間を目安に集中的に治療を行ない、地域生活に戻れるよう支援をしていきます。
患者様の状況については、これまでは統合失調症などの疾患が大きな割合を占めていましたが、最近は入院・外来ともに認知症の患者様が増えてきています。認知症の進行に伴い不穏、興奮、混乱、徘徊などのBPSD(行動・心理症状)が見られ、在宅や施設、また一般科病院での対応が困難になった場合などに、入院治療によって薬物療法などを実施していきます。

3.認知症医療センターについて

 当院は平成26年12月に福岡県より認知症医療センターの指定を受けました。当センターの役割は、地域で生活する認知症の方、ご家族や支援者の方からご相談を受け、鑑別診断を行なっています。また、認知症の理解を深めるための市民向け・医療介護従事者向けの研修の開催、施設等での出張講演を行なうなどの普及・啓発活動、その他、地域の関連機関との連携会議の開催などを行なっています。
 受診に関わるご相談の中では、ご本人様の受診の同意が得られずご家族が困っているというご相談をいただくこともあります。そのようなケースでは、地域包括支援センターと連携して、受診に繋げられるように工夫しています。

4.ソーシャルワーカーについて

 当院には12名のソーシャルワーカーが在籍しております。精神科救急病棟、認知症疾患治療病棟、デイケアセンターなどに専従として1~2名ずつ配属され、その他のソーシャルワーカーが専従不在の病棟や外来の患者様のご相談に対応しています。平成29年度からは地域医療連携室、内科棟の運用開始に伴い、そちらにも配属する予定です。事業拡大に伴い院内での職域が広がり、それぞれの場所で質の高いソーシャルワークを実践できるよう研鑽を積んでいきたいと考えています。
 私たちの業務についてですが、入院中の患者様の在宅復帰や施設入所に伴う関係機関との連絡調整の他、自立支援医療(精神科通院費助成)、精神保健福祉手帳に関わる申請のサポートなど、精神科ならではの情報提供も多いです。その際は、患者様の病状や理解能力、また病名告知の状況等についての情報収集を丁寧に行なうように心掛けています。また、筑豊地区は全国的にも生活保護率が高いこともあり、福祉事務所のケースワーカーと連携を取ることも多くあります。生活保護に関わるご相談を受ける際は、法律や制度を熟知していないと、患者様の不利益に繋がる可能性がある為、法制度の改正等の情報はソーシャルワーカー全体で共有する等工夫しています。
 今後、内科棟の新設に伴い、精神科以外の分野の社会資源等についての理解を深めていく必要があり、協会員の皆様にも色々とご教授頂きたいと感じております。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

 


医療法人社団豊永会 飯塚記念病院

〒820-0014福岡県飯塚市鶴三緒1452-2

TEL:0948-22-2316

 

                             平成29年1月1日現在