1.飯塚病院について
飯塚市は人口13万5千人で福岡県の中央部に位置し、周囲を山に囲まれた長閑で人情味溢れた田園都市です。その中で飯塚病院は、大正7年より、開設者麻生太吉翁の「郡民のために良医を招き、治療投薬の万全を図らんとする」開設の精神を受け継ぎ、地域の方々の健康保持増進に向け活動してきました。
救命救急センターを併設し、救急医療や高度医療を提供し、名実ともに地域の基幹病院として地域貢献に努めています。
今年は新棟建設中で、病棟は日本初のクローバー型構造となります。すべての患者さんに固有の窓があり、4人部屋でも個室感覚が持てる構造となっています。中央にナースステーションが位置し、病室へのアクセスが短縮され、更に新たなcell化により、患者さんと看護師との接点がより深くなっていくことが期待されています。
2.ソーシャルワーカーについて
ソーシャルワーカーは現在16名(内 精神科4名)が勤務しており、この人数は総合病院でも珍しいのではと思います。相談は入院から退院まで多岐にわたります。
救命救急センターに搬送されてくる患者さんは、当たり前ですが、入院の準備はされていません。未保険や身寄りの居ない方、家庭や地域の役割を持たれたまま搬送されてきます。患者さんの不安が軽減し、少しでも治療に専念できるように関係機関と協力して支援をおこなっています。これはスタッフの不安軽減にも繋がっています。当院だけでなく、ソーシャルワーカーの早期発見・早期介入が期待されていると思います。
そこで、当院では平成22年から救命救急センターで時間差勤務の導入や、平成24年4月より効果的な退院調整のために、病棟師長とソーシャルワーカーが中心となり、患者さんの退院後の生活について検討する場を設けました。病棟が21もあるので、試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいます。
3.課題について
最後に退院支援についてです。当院の退院相談の特徴は、救命救急センターを併設しているため、期間が短く、様々な疾患があり、出産から看取りまで幅広いことなどがあります。そのためソーシャルワーカーは時間に追われるような感覚に陥ることがあります。
医療制度について理解が必要なことは言うまでもありませんが、患者さんの生活を見立てる力、その手立てを考える力、また死生観を持たなければなりません。それらの教育に力を入れていきたいと思います。患者さんと共にソーシャルワーカーが「専門職」として「人」として成長できる職場が目標です。これからもよろしくお願いします。
2012年12月現在